国土交通省の中部地方整備局に寄せられた質問に『会社組織でない4〜6人程度の労働班に型枠、鉄筋、コンクリート、土工等に施工させる際に、自社の社員が安全・品質出来形・工程・施工方法について直接指揮して施工した場合は直営施工とみあしてよいか。』というのがあります。これに対して、同整備局は「直営施工にはあたらない」と回答しています。
その理由として同整備局は「直営施工については“自ら雇用する労働者をもって建設工事を施工する場合をいう。”と定義されているので、自社と直接の労働契約関係にない労働者を直接指揮しても直営施工には当たらない」としたものです。
そして、このようなケースの場合、「労働者の派遣または労働者供給事業等の問題が生じるおそれがある。」と付け加えています。
会社組織でない労働班を請負とみなすためには、すでに説明したように下請契約の条件を満たしていなければなりませんが、その要件にも該当しないとなれば労働者の派遣または労働者供給事業のいずれかということになります。
一般派遣の説明でも述べたように、建設業の現場作業に係る業務は派遣禁止とされており、これに違反した者および労働者供給事業を行った者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。
労働者に指揮命令ができるのは労働契約を取り交わした相手側、つまり「雇入通知書」を発行した労働者だけです。したがって、この質問のケースの場合は違法性の強い出向、派遣、または労働者供給事業のいずれかということになります。
(木田 修 建設労務管理指導センター所長、社会保険労務士)
<建通新聞・静岡 2008年5月9日付>
|