国土交通省の中部地方整備局に寄せられた相談事例に「建設機械をオペレータ付でリース契約をした場合、請負契約か。」という質問があります。これに対して同整備局では次のような回答をしています。
『オペレータ付リース契約をする場合であっても、工事の完成を目的として締結する契約であれば、建設工事の請負契約となります。なお、リース会社から派遣されるオペレータを建設業務に就かせることは、労働者派遣法に違反するおそれがあります。』
一見投げやりな回答のようにも思えますが、この回答には重要な二つの意味が込められています。つまり、建設工事の完成を目的として建設機械にオペレータを付けて受け入れれば請負契約とみなすが、同時にそれは労働者派遣法にも違反するおそれがあると注意を促したものです。
ここで問題になるのは、人間であるオペレータをリース物件と同じように受け入れることができるかということです。
このような場合は人は人、リース物件はリース物件として切り離して考える必要があります。このケースの場合、オペレータは建設機械を操作するために送り込まれた労働者なので、その者がどの会社に所属しているかを確認する必要があります。リース会社の社員であれば、その社員に対して指揮命令を行えるのはリース会社だけということになります。
すでに述べたように、所属する会社と労働契約を維持したままで他人の指揮命令を受けて労働に従事すれば出向または派遣とみなされます。
したがって、この場合には違法性は免れないものと思われますので、建設業法に基づいた請負契約を締結するのが最善かと考えます。
(木田 修 建設労務管理指導センター所長、社会保険労務士)
<建通新聞・静岡 2008年5月2日付>
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