6月に施行された改正建築基準法の影響で、7月の建築着工が大幅に落ち込んだことが、国土交通省のまとめで分かった。新設住宅の着工戸数は前年同月と比べ23.4%減の8万1714戸。季節調整済年率換算値は94万7000戸と40年ぶりの低水準を記録した。同省・建設統計室は「制度変更に伴う手続き上の要因によるもので、その影響は一時的」とみているが、建築確認の現場では依然として混乱が続いており、先行きは不透明だ。
同省が31日に発表した建築着工統計調査報告によると、7月の住宅着工戸数は8万1714戸(23.4%減)、着工床面積は695万5000といずれも前年同月から2割以上の減少。利用関係別戸数を見ても、持家が26%減の2万4093戸、貸家が25.3%減の3万4763戸、分譲住宅が20.6%減の2万1243戸と軒並みその数を大きく減らした。
地域別では、首都圏が22.8%減の2万7072戸、中部圏が8.4%減の1万2068戸、近畿圏が28.5%減の1万1685戸、その他地域が26.6%減の3万0889戸だ。着工床面積の事業者別の内訳は、公共が25.2%減の73万、民間が22.6%減の1169万。民間は居住用が23.3%減の720万、非居住用が22.6%減の449万だった。
民間非居住用建築物の内訳を用途別に見ると、鉱業・建設業用(10万、36.5%減)、製造業用(108万、31.9%減)などが大幅に減少し、増加したのは飲食店・宿泊業用(23万、0.2%増)だけ。
使途別でも、工場(90万、34.5%減)、事務所(43万、32.7%減)、倉庫(65万、28.7%減)、店舗(88万、9.9%減)のすべてが減少した。
大幅減の要因とみられる改正建築基準法は、建築確認・検査の厳格化、審査期間の延長、構造関係規定の明確化などを柱として6月20日に施行された。同省は今回の結果を「施行前の駆け込み需要の反動に加え、申請者が新たな手続きに慎重になっているため」などと分析しているが、一方で「改正法は申請側、審査側双方に対する負担があまりに大きく、正常に機能するまでは時間がかかる」(建築関係者)との見方もある。
<建通新聞社・東京編集局>
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