世界規模で進行する地球温暖化に立ち向かうべく、県は地球温暖化防止条例を制定した。この条例では、2000以上の建築物の建築主に対し、静岡県版建築物総合環境性能評価システム(CASBEE静岡)という評価ツールを用いて、環境配慮への取り組みを記載した「建築物環境配慮計画書」の提出を義務付ける。7月1日から条例が施行される予定。事務所ビルの建設などを計画している民間企業に加え、建設企業にとっては早急な対応が求められそうだ。
環境配慮計画書の提出義務付けは、これまでなかなか進まなかった、民間建築物を中心とする「環境に優れた建築物の整備促進」を図ることが狙い。地球温暖化防止対策の推進を図るため県が制定した条例を踏まえ、県建築物環境性能評価制度に基づいて7月から導入される。
計画書は、延べ床面積が2000以上の建築物を建築する場合に、提出義務が課せられる。増築・改築の場合には、増改築する部分の延べ面積が20000が提出の対象となる。届け出を行う建築主は、県が定めている建築物環境配慮指針に沿って、環境性能(室内・室外環境、サービス性能)や環境負荷(エネルギー、資源、敷地外環境)などの項目について、環境配慮への具体的な取り組みを環境配慮計画書の中に記載する。
環境配慮計画書は、工事着手の21日前までに、特定行政庁や各市町に提出。着工後、環境配慮計画書に変更が生じた場合にも、着手予定日の15日前までに変更届けを提出しなければならない。
今後は、県が周知を図るほか、県建築設計事務所協会らが6月に県内3会場で開く「改正建築士法・建築基準法講習会」の中で、制度の概要説明が行われる見通し。
記者の目
基本的に環境配慮計画書の提出義務付けは、大規模建築物を規制するものではなく、従来と同様に「建築主の自主的な取り組みを促す」ことに主眼を置いた制度であると感じた。
計画書の記載内容のうち、所在地や概要、設計者の氏名などの項目が、県のホームページ上で公表される予定。そのため、オフィスビルなどを建築しようとする企業にとって、環境への自主的な取り組みをアピールする場にもなり得ると考える。
制度が機能し、建築主の意向に沿う計画書の作成には、まず設計事務所など建設業界が制度を理解することが第一歩。7月の施行に向けて、残された時間が多くはないが、業界内での情報共有により周知が図れるよう努めてほしい。
<建通新聞・静岡 2007年4月13日付>
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