今回から、実質的にどういう仕組みにより納税が行われるか順次説明していきます。
<所得税の納税義務者>
Q | 所得税を納めなければならない人は、どんな人ですか。 |
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A | 所得税は、個人の1月1日から12月31日までの年間所得に課せられる直接国税であって、現在の租税制度の中では、法人税とともに最も基本的な税金です。 この所得税は本来、個人の所得に対する税金ですが、課税技術上の観点から、法人の特定の所得についても源泉徴収の方法により所得税が課税されます。従って、所得税の納税義務者には個人と法人があることになります。 |
<1> 個人の場合
個人の場合には、日本に住所を有するか、または1年以上居所を有する個人(税法では居住者といいます)は、すべての所得に対して課税されます。ただし、居住者のうち、日本に永住する意思がなく、かつ、住所や居所を有する期間が5年以下の人(税法では非永住者といいます)は、国内源泉所得と国内において支払われ、または国外から送金されたものについて課税されます。
居住者以外の個人(税法では非居住者といいます)は、国内源泉所得についてのみ課税されます。
<2> 法人の場合
法人の場合でも、次のような場合には所得税が課せられます。
すなわち、法人が
(1) | 公債社債および預金の利子 |
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(2) | 合同運用信託の収益の分配 |
(3) | 匿名組合契約に基づく利益の分配 |
(4) | 利益の配当・剰余金の分配・基金利息 |
(5) | 証券投資信託の収益分配金 |
(6) | 金貯蓄口座の利益・抵当証券の利息 |
もっとも、法人が所得税を納めるといっても、個人のように確定申告によって納めるわけではなく、これらの支払者から支払いを受ける際に源泉徴収のかたちで行われ、この源泉徴収分はあとで法人税の申告の際、法人税から差し引かれることになっています。
なお、公共法人等が所有している公社債・証券投資信託等にかかる利子および収益の分配金については、原則として、非所有期間に見合う部分に限って源泉徴収が行われ、所有期間に相当する部分については、源泉徴収は行われません(割引債の償還差益については、発行時に18%の源泉徴収が行われ、償還時に還付請求書を提出して、その税額の還付を受けることになっています)。
(所得税法2条〜7条、161条、164条、174条、212条、法人税法別表1、租税特別措置法41条の12)
税理士 菊池 康之 |
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