建てたい人と建てる会社の『建築ナビ』

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[No.034]
知恵で食品工場を虫から守る
福島 昭夫(青島冷凍工業株式会社)

 外から飛来する虫の対策は難しいものです。いくらドアやドッグシェルターを使っても、どこからか入ってきてしまうからです。小さな虫は網戸もなんなく通り抜けてしまいます。
 具体的な虫の侵入防止策としては、工場内を陽圧構造にする工事や高速シャッター、防虫カーテンの設置などわが社でも数十個所の工場を施工しました。また、排水溝の中、空気取り口の中など隅々までチェック、防虫網やフィルターを取り付ける、ガラスに黄色フィルムを貼付するなどがあり、虫侵入根絶に成功した工場はたくさんあります。
 しかし、中には頑固に虫の侵入がとまらないケースもありました。理由は従業員さんの意識の問題でした。「ドアの開け閉めに注意しない」「ドッグシェルターはあってもその横の出入り口から出入りする運転手の意識が低く開けっ放しだった」などが理由でした。なればと、昔ながらのハエ取り紙を使ったところ直接的な効果が目に見えてあり、以後新技術と旧兵器を併用していただいています。

 虫は自然の横風への対応力はありますが、垂直の人工的な風には近づかないといわれています。これには、エアーカーテンが効き目抜群です。費用の点でエアーカーテンを入れることが無理な場合は、見た目は悪いですが扇風機を出入り口の上に取り付けて、下に向かって風を送ると効果的です。出入り口が広い場合は複数台の扇風機を使うことになります。網戸を抜けてしまう小さな虫への対策には、網戸の上から下へ風を送る方法があります。この風を利用する方法はいろいろなところで応用できます。試してみてはいかがですか。

 工場の周りには基本的には、樹木を植えないことがHACCPでは鉄則ですが、どうしても美観上植え込むケースが多いのが実態です。その際考えてほしいことは、見た目で木を選ぶのではなく「虫の付きにくい植樹」を選定することです。高木では、カイズカイブキ、ヒマラヤスギ、クス、シイ、タブがお勧めです。低木ではカナメモチ、アオキ、ヤツデを、芝はノシバ、コウライシバといった具合です。

 さて、虫対策はいろいろ施しますが、どんな虫が工場に侵入しているかということに付いては意外と無関心です。食品から混入したことのある昆虫は100種類以上にも上ります。最近報道された虫には、トカゲ、アリ、ゴキブリ、ヤモリなどが再三登場しています。
 そこで、以下に食品混入害虫で混入頻度が特に高い昆虫を列記しました。

・イエバエ
・キイロショウジョウバエ
・セスジュスリカ
・ホシチョウバエ
・チャバネゴキブリ
・ジンサンシバンムシ
・コクムスギモドキ
・ノコギリヒラタムシ
・ノシメマダラメイカ

 ご自分の工場ではどの昆虫が多いでしょうか。チェックしてみて下さい。そして専門の方と駆除方法について相談してください。