建てたい人と建てる会社の『建築ナビ』

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[No.033]
外壁モルタルが危ない
木村 壽栄吉(静岡県左官業組合・専務理事)

 ある塗料メーカーが、「外壁モルタルは本来厚さ20以上にしなければならないのに、ほとんどの住宅は半分の10にも満たないのが現状です。これでは5年以上たつと防水能力が弱まり、雨水が浸透してカビや藻が生え、構造材が腐って耐震性が低下します。」と述べていました。これについて、わたしたち左官はあながち笑ってばかりはいられないのではないのでしょうか。もちろん、まさか10というようなばかなモルタルを塗る者はいないでしょうが、このごろの左官業界を見ていると、必ずしも否定できないように思われます。

 「底なし沼に杭を打つ」という言葉が聞かれる業界です。元請け業者の間の受注競争のあおりを受けているのは下請け業者です。元請け業者は、どこまでも下請けに安い価格を押しつけてきます。もちろん下請けはその安い価格を拒むことはできますが、それならほかの安い価格でやる業者に発注する−と言われれば、断りきれずその価格をのむことになります。その結果、その安い価格でなるべく損の少ない仕事をしようとするのが人情です。
 こうして、住宅金融公庫の仕様書に指定されている20厚のモルタルが姿を消すことになります。

 しかし、そのような安い単価を押しつけられたら、施工の程度を下げて、何とか採算の取れる仕事をすればよい−などという甘い考えは通用しない時代が来たようです。今年の4月から「住宅品質確保促進法」が施行され、新しい住宅の基本構造部分に欠陥があった場合は、10年間は無料で補修しなければならなくなりました。この基本構造部分の中には、左官に関係するところがあります。例えば断面の亀裂です。住宅のトラブルで多いものとして挙げられている中に、雨漏り、断面の亀裂、床・外壁の傾きがあります。特に、外壁の亀裂による雨漏りは、直に左官にのしかかってきます。