建てたい人と建てる会社の『建築ナビ』

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[No.027]
こんな家を建てよう!
大工棟梁  小林 三津彦(小林建築・静岡市)

 家はいろいろな人の力(知恵)でつくるものです。
 最近の家は設備や家具、インテリアばかり気にして建物本体に、時間もお金もかけられていないのではないでしょうか。どんなにいい設備や家具を設けたところで、建物本体が丈夫で健康に良いものでなくては、どうにもなりません。
 どこを見てもクロスに新建材、そして高気密、それがいい住宅なのでしょうか。もっと自然の力や人間の知恵(建主・設計者・施工者)で工夫すれば二次的な力を借りなくても快適な、健康にやさしい住宅ができます。

 そこで考えていただきたいのが伝統的な在来工法の住宅や、無垢の木材の事です。
 具体的には南側・西側などの軒の出や、庇の長さにより冬の太陽光線は部屋の中に引き入れ、夏の太陽光線は遮断する事ができますし、室内の温度差による上昇気流を使って空気を意図的に動かし、吸湿性のある素材(木材・土・紙)を内外壁につかって湿気を吸わせるとともに、日射を逆に利用してそれを蒸発させて気化熱を奪うことで室内の温度の上昇を防ぐ事ができます。
 また、室内に自然な通風排気が行なえるように天井裏にダクトを設け、それを屋根の通気層から屋外に放出させるようなくふうもできます。

 以前テレビの番組で次のような実験がありました。
 3つの部屋があり、1つはビニールクロスを全面張った部屋、1つは木の板を全面張った部屋、最後に木の板とビニールクロスを半分ずつ張った部屋、そこに加湿器を入れて各部屋の湿度を高めていきます。そして15分後の結果が下図のようになりました。

 つぎに、その状態から同じ量の乾燥剤を入れ、それぞれの部屋の状態を観察します。30分経過すると下図のように湿度が変化しました。

 図からも分かるように、木材の一番の長所は、この調湿機能があることです。電気代も使わず、音も立てずに静かに未来永劫行ってくれるのです。
 その他にも木材には、色々な性質があります。熱伝導率が非常に低いので天然の断熱材です。遮音性にも優れ、抗菌作用や鎮静作用、紫外線も吸収するので眼にもやさしく、手触りや肌触りがよく暖かい、和んだイメージを私達に与えてくれます。

 私は常日頃、新築工事にしても、増改築工事にしてもふんだんに『木』を使った部屋が1つでも多くできるように、お施主さまに提案しています。そして手作りの家具(たとえばテーブル・ベッドなど)を一緒につくって使用してもらい、他の家にない自慢の逸品をプレゼントしています。

 最後に、私達地域の大工・工務店は、伝統的な工法や豊富な知識をもとに、良質な材料を適材適所に使い、住まう人にやさしく健康的で人に自慢できるオリジナルな家作りを、お施主さまと一緒に作り上げることをお約束いたします。