私たちが暮らす社会には、若者、高齢者、障害のある人、重い荷物を持った人、妊婦、乳幼児を連れた人、ケガをした人など、さまざまな人が生活しています。だれもが自分の力で移動したり、買い物したり、施設を利用したり、仕事をしたいと思っています。それは、まち、建物、駅、商品などを、だれもが使いやすいようにしていくことで、可能になっていきます。
このように、年齢、性別、体、言語など人々が持つさまざまな特性や違いを超えて、はじめからできるだけすべての人が利用しやすい、すべての人に配慮した、環境、建物・施設、製品などのデザインをしていこうとする考え方が「ユニバーサルデザイン」なのです。
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今までは、大多数を占める平均的な人(標準体型、右利きなど)が使うことを想定して、まち建物、商品がつくられてきました。これからは、いろいろな人が暮らしていることを前提にしたまちづくりやものづくりを進めていく必要があります。
この事例集は、ユニバーサルデザインについての理解をより深め、今後もたくさんの事例が生まれてくることを期待して作成したものです。
紹介している事例は、静岡県内の施設や静岡県内で製造しているもので、生活のいろいろな場面ごとにまとめ、どのように生かされているのか、どのような点が使いやすいかなどを説明しています。
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住む・使う「住宅」
住宅は身近な生活空間です。また長い間使うのと同時に、新築や改築にはお金もかかるなど、簡単に変更することができません。
ですから、長期的な視野に立った設計が求められます。高齢化などの生活の変化に対応できる改修のしやすさを、あらかじめ考えた設計をすることもひとつの工夫といえます。
住宅の中での「ユニバーサルデザイン」の事例をみていきましょう。
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