建てたい人と建てる会社の『建築ナビ』

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[No.007]
気軽に相談できる相手として、
建築士に期待

日本消費者協会・消費者相談室
消費生活コンサルタント

鳥居 喜美子

 平成11年度の相談件数2355件のうち、住宅関係は69件と、それほど多くありません。しかし、一定の割合で相談があるというのは、人生最大の買い物なのに、消費者に情報が行き渡っていないし、苦情処理の仕組みが出来ていないからだと感じます。一種のブラックボックスがあるような気がします。
 雨漏りがあるとか、ひび割れがひどいなどの相談があっても、私たちだけでは因果関係の証明ができません。そのような場合、建築家協会に相談して、有料の検査を受けていただいています。一般消費者の目で見て、出来上がりがおかしいからと、工務店と直接折衝して改修してもらう方もいますが、それはずいぶんとがんばっている方です。

 一般消費者は、建築士と会って話をするなど、ソフトの部分がタダだと思っているし、設計を建築士に依頼するという発想を持っていません。設計費込みで施工まで出来るところの方が安いと考える人が多い。しかし、家を建てる時は、設計監理がちゃんとできることが大切。私自身、家を建てる時に、設計監理と施工が別々にすれば良かったと思った経験があります。
 消費者は、イメージを持っていても具体的に言葉にできない。表現できずにイメージばかりが広がり、期待が大きくなり、出来上がったものがイメージと違うと怒り出す。「施主がどんな家に住みたいか掴めるまでには、相当、話をしなければならない」と建築士から聞きました。建築士が消費者に質問しながら、イメージを具体化させてもらえればありがたい。中には消費生活コンサルタントの資格を取得した建築士もいます。グループホームへの改築をという依頼を受けた時、人とのコンタクトの重要性を感じて、受講したそうです。
 最初は気軽に相談して、話し合いができ、ある段階から有料になるサロンのようなものがあればと思います。また、医師が手術の失敗事例を公表しているように、建築士も設計でのマイナス面の情報を開示してほしい。