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[No.002]
住宅の品質確保の促進等に関する法律
住宅品確法

住宅を建てる消費者(施主)が
安心して住める良質な住宅を持つことができる
新しい仕組みです

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(以下、「住宅品確法」)が2000年4月1日より施行

スタートしたばかりで、「何か難しい制度が始まったなぁ」と、おぼろげながら理解している人も多いことでしょう。しかし今は、その制度を確実に理解することがとっても大事

法律の背景には、阪神・淡路大震災での住宅の被災状況や秋田などの欠陥住宅問題などが出てきたことがあります。 このため住宅に関して住宅性能表示や瑕疵(かし)担保責任のようなルールをハウスメーカー、中小工務店が共通して持ち、住宅を建てる消費者(施主)が安心して住める良質な住宅を持つことができるような仕組みになっています。 住宅購入者である消費者の保護を色濃く出した制度とも言えますね。

 住宅品確法の柱は大きく分けて3つ。

瑕疵担保責任の10年間義務づけ ( 4月1日スタート )

住宅性能表示制度の創設 ( 10月3日スタート )

性能評価を受けた住宅についての紛争処理体制の整備

■ 性能評価・性能評価機関について

 住宅性能表示を行うためには、性能評価が必要となってきます。性能評価を行うのは建設大臣から指定された指定住宅性能評価機関です。静岡県では「静岡県建築住宅まちづくりセンター」が指定機関となりました。今の状況は、7月に住宅性能表示や評価方法などの基準のほか、住宅紛争処理の参考となる技術基準なども決まり、制度を実施するための準備は整ったといったところです。後は評価機関が評価を行うために必要となります評価員の養成が問題となりますが、前述のセンターでは19人の評価員を登録済みです。評価機関になったことから、性能表示、性能評価という制度が本格的にスタートしたことになります。

注意点
1 「住宅性能表示制度」と「瑕疵担保責任の10年間義務づけ」は切り離して考えなければいけません
住宅性能表示で評価した性能を、瑕疵担保責任として10年間保証するというものではないということです。
2 住宅性能表示制度は任意の制度です
制度を使って住宅の性能評価を指定された評価機関に申し込むかどうかは、請負業者と施主との間で話し合った結果などで決めます。制度を使うことは義務ではないので、「必要なし」となれば当然、申し込む必要もありません。 しかし、評価した時の手数料などのことを除けば、評価書どおりに住宅が建っているのか、しっかりした評価機関が確認してくれるので、施主の側から考えると安心して住むことができますよね。
■ 住宅性能評価の手順

設計図の作成(工務店と施主)
ポイントは、工務店は設計の時から評価基準をにらんで設計を行う必要がある
申し込み(工務店または施主)を性能評価機関に行う
必要な設計図書などを申請書に添付して、料金とともに性能基準機関に申し込む
設計段階の評価(性能評価機関が行う)
設計住宅性能評価書の交付(性能評価機関が工務店または施主に交付する)
請負契約の締結(工務店と施主)
請負契約時には、性能評価書を確認したうえで契約書を交わす。これ以降、評価書に記載された通りの住宅を完成させなければいけない
施工中の検査(性能評価機関が行う)
施工中の現場検査は、中間検査が3回
完成時の検査(性能評価機関が行う)
建設住宅性能評価書の交付(性能評価機関が工務店または施主に交付する)
日本住宅性能表示基準と評価方法基準にしたがって完成した住宅の性能評価を性能評価機関が行い、その結果を評価書に記載する
引き渡し(工務店から施主へ)
完成時の評価書を工務店が施主に渡す
ポイント1 瑕疵担保責任の10年間義務づけ

 これは、基礎、壁、柱、床など新築住宅の「構造耐力上の主要部分」と「雨水の浸入を防止する一定部分」に欠陥があれば、新築後10年間は請負業者が無償で修理することを義務付けたものです。

■ 瑕疵(かし=欠陥)とは
 ・新築住宅で設計図書に従った施工が行われていない
 ・住宅が最低備えているべき性能を持っていない

■ 瑕疵保証期間について
 民法上、瑕疵担保責任は、木造住宅については5年間、木造住宅以外については10年間となっています。ところが、住宅品確法の瑕疵保証というのは4月1日以降に売買契約した建物(新築住宅)は、契約書の中に3年や5年とうたってあっても、10年間保証(最長20年までの期間とすることができる)しなくてはいけないことになったのです。 契約書に「10年保証します」ということを書く必要があり、契約書の書式が民法に基づいて5年となっていたとすると、そこのところは例えば「住宅品確法により構造く体に関して10年間の瑕疵保証をする」という記述に変えなければならない。ただ、その時も請負業者が制度について施主に説明する必要はあります。

10年間の瑕疵担保責任義務づけ対象部分
構造耐力上
主要な部分
住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋交い、火打材など)、床版、屋根版、横架材(はり、けたなど)で
住宅の自重、積載加重、積雪、風圧、土圧、水圧、地震、その他の振動や衝撃を支える部分
雨水の浸入を
防止する部分
住宅の屋根または外壁
住宅の屋根または外壁の開口部の戸、わく、その他の建具
雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、住宅の屋根もしくは外壁の内部または屋内にある部分

〔トラブルが起こった時の処理〕

 紛争処理体制の整備では、住宅性能表示制度にしたがって評価を受け、表示した住宅で欠陥が出てきた場合、欠陥をめぐって施主(消費者)と請負業者の意見の食い違いを解決するために、弁護士や建築専門家などで構成する「指定住宅紛争処理機関」が設けられています。
紛争処理機関は、建設大臣が各県の弁護士会に要請します。処理機関が斡旋、調停、仲裁を行い、建設大臣指定の「住宅紛争処理支援センター」が住宅取得に当たっての相談受け付けや助言、苦情処理などを行います。
 注意したいのは、紛争処理の申請ができるのは、住宅の契約をした当事者(契約者)ということ。請負契約をした請負業者、施主、売買契約をした売主、買主です。また、紛争処理を処理機関に申請した場合、手数料を払わなければなりません。しかし、これは裁判に持ち込むよりもずっと安い費用(1万円とみられている)で利用できるようになるそうです。

ポイント2 住宅性能表示制度について

 4月1日から施行された住宅品確法ですが、住宅性能表示基準・評価方法基準については7月に決まり告示されました。構造の安定、火災時の安全性、維持管理への配慮など表示する事項ごとに、等級などによる表示方法と、各等級の内容などを規定しています。また、表示する事項の評価や検査方法の概要についてもまとめています。始まってまもない制度ですので、今は枠組みをしっかり理解しておきたいものですね。

 住宅性能表示とは、以下の9項目について、完成した住宅が備えているそれぞれのレベルを住宅の性能として表示することです。

性能表示基準
1 地震に対する構造く体の安全性・修復性
2 火災時の避難の容易性、延焼の受けにくさ
3 構造く体の劣化対策
4 配管の維持管理の配慮
5 く体の断熱・気密による年間冷暖房負荷
6 内装材のホルムアルデヒド放散量、換気の方法
7 開口部の面積、天空光の取得
8 界床や界壁の遮音対策
(カーペットをフローリングに転換するなど、入居者自らが遮音性能を変える場合が考えられるとして、選択性にする考え)
9 身体機能の低下を考慮した移動行為の安全性、介助行為の容易性

これらの程度について、等級、%などの数値、「機械換気」「自然換気」などの措置・対策により表示するとしています。

例:「地震に対する強さ」の場合
建築基準法をクリアしているギリギリの構造を100%とし
住宅の性能 性能表示
100% ランク 1
125% ランク 2
150% ランク 3

 この個々の住宅の性能レベルを、施主の予算と照らし合わせながら施主と請負業者との間で話し合いをして決めるのです。その性能のレベルが決まった住宅に対して、性能表示制度を使った場合は、性能通りに家が建っているかどうか、設計図に対しての評価と完成した時の評価がされます。これが住宅性能表示制度というものです。 評価については、設計段階の評価と完成して引き渡し時の評価が行われ、2つ評価書が出来てきます。

■ 2回の評価が行われる理由
設計した時はこの性能レベルで良いと決めていたものが、実際に工事を進めていく中で、施主が「やはりレベルを上げてもう少し強くしたり、機能を増やしたい」「やはり少しレベルを低くしても大丈夫だ」などとなった時には、完成する時に性能が変わってくるので、設計段階と完成時の2回の評価を行うのです。
 当然、請負業者が設計時に決めたレベルまで施工できなかったら、完成時の評価も変わってきます。もしその時に施主が納得しなかったら、契約違反になります。施工者は設計図を把握し実現する技術力をより求められ、設計者も施工まで理解した設計ができなければなりません。このようなことから、お客様である施主は性能表示制度を使えば、自分の住宅についてどのくらいの性能を持った住宅か分かりやすくなり、建物の保証もされるということになったのです。

■ 性能表示制度にかかる費用について
 性能表示制度を使った場合にかかる費用は、おおよそ10万円です(表1参照)。請負業者サイドで自主的に制度を使ったとしても、基本的にはその建物に関することなので、請負代金に入るか、入らない場合でも別途に経費として施主に求めることになるようです。

(表1) 静岡県建築住宅まちづくりセンターの評価業務手数料
手数料の額
設計審査 現場審査 合計
100未満 20,000 64,000 84,000
100以上200未満 24,000 74,000 98,000
200以上500未満 33,000 92,000 125,000
500以上 Nx20,000+33,000 Nx30,000+92,000 Nx50,000+125,000
※ N:500を超えた面積に対する200毎のカウント数
※ 現場審査については、紛争処理負担金(4,000円)を別途加算する。