◇京都御所の風水仕掛け
このシリーズを見ておられる方は多いと思うが、家相について興味ある人も少なくないはず。今日は『魔除けの仕掛け』をお教えしよう。
なにも根拠がないのに『鬼門』を言う人は多い。そういう人は『ペテン師』『サギ師』とみて、ほぼ間違いないことは前述したが(そういう人には明確な根拠を提示してもらうことである。できねば、ウソツキと見て間違いないからだ)、ただ、『怨霊』『呪い』を信じていた古代には、こういうことを気にしたことは事実で、そのために、専門の『呪い師』『陰陽師』が活躍したことも事実である。かれらは、なにかとケチをつけ、人を脅かさねば仕事にならなかったのである。
現在でも『ケチツケ風水屋』がいるのは、この流れである。しかし、人として、言われると気にするものもいる。そこで『悪運』を取り除く工夫がなされたのである。
その代表が京都御所に残っている。
◇未完成なら魔はささない
京都御所の塀の東北隅に、『切り出し』と言われる部分があるのがそれ。
写真を見ていただきたい。隅が切ってあるのである。この処に猿の彫刻があるところから、『猿が辻』と呼ばれているところだ。
要するに、『完成した家』なら、いろいろと魔がさし、悪霊がとりつくのであるから、『未完成にしておけばいい』という考え方である。
それが皇居にあるというのが、面白いではないか。JR京都駅から地下鉄烏丸線『今出川駅』下車ですぐである。一般人も自由に見ることができる。
『未完成』というのは、現代の建築学で思いもよらないだろうが、『風水好転法』『魔除けのマジナイ』として考えていいのではあるまいか。歴代天皇もそうなさっておられたのである。
◇一般住宅・ビルにも
これは、普通の建築でも利用できるのだ。簡単にいうと、最後の一本の釘を全部打たないで半分だけでやめるとか、ハンマーやチョウナ・ノミのたぐいを残すとかである。年配の大工さんなどで、この風習を聞いたことがある方は多いはず。
これも『未完成ニスル』という考えで、『完成は、百年・千年あと』でもいいというわけである。
『風水のまじないなのです』と施主に説いてみるのも、面白いはず。なにしろ、天皇さまもやっておられる『はっぴー風水術』なのだから。
静岡県立大学国際関係学部教授 高木 桂蔵 |
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