「建築と自然、互いを引き立てあう関係が理想」―7日、静岡県インテリアコーディネーター協会の建築セミナーで、「秋野不矩美術館」「ねむの木こども美術館」の設計者、東京大学教授の藤森照信氏は「藤森流建築と自然素材」をテーマに講演、独自の建築感を語った。
静岡県インテリアコーディネーター協会(大西ゆかり会長)は7日、静岡市駿河区馬渕のあざれあで建築セミナーを開催。講師の建築家、東京大学教授の藤森輝信氏は、自然素材と建築の関係について「不均質さ」をそのまま使う藤森流建築を披露。受講した約50人は建築と住空間について学び、建築への思いを享受した。
縄文建築に造形が深い建築史家でもある藤森氏は、新石器時代のアイルランドのスタンディングストーンを例に「建築の起源は、まず高さだった」その後、ピラミッドにみられるような「安定した形が求められた」と建築史を紐解き、建築と自然素材の理想的なパターンとしてジェンネの泥のモスクを挙げ、「ネジのない建築の気持ち良さ」を強調。
また、ポルトガルで「石の家」を見つけた時の感動を話し、「建築と自然が互いを引き立てあう関係が理想」「建築をすることで、すでにあった自然がクローズアップされ、また、その反対も」としながら、「自然を建築に取り込む」ことは難しく、「建築から植物を産毛のように生やす」ことが理想だと、独自の建築感を語った。
そのほか、割板や焼杉、竹、炭、漆喰などの自然素材について説明。天竜市の「秋野不矩美術館」設計については、“靴を脱ぐ”コンセプトの裏話も披露した。
※写真上:東大・藤森教授
下:セミナーの様子
<建通新聞・静岡 2008年3月12日付>
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