清水建設はこのほど、柱や梁の構造体を内部に出さずに自由度の高い広い空間を実現できる、超々高層集合住宅対応の「SHコアウォールシステム」を開発・実用化した。
今後、需要が予想される60〜70階クラスの超々高層集合住宅を、遮音性や風揺れに対する抵抗性が優れているRC造で建設できる。
今回開発した構造形式は、1平方当り80〜120ニュートン級の超高強度コンクリートを使用した「超高強度RCコアウォール」と、低降伏点鋼を用いた「境界梁型制震ダンパー」を組み合わせたもの。
超高強度コンクリートをコア部分に採用し、コアウォール(連層耐震壁)として地震力の大半を負担。また、各階のコアウォールの4面に「境界梁型制震ダンパー」を取り付けることにより、コアウォールで負担する地震力を減衰させ、建物の揺れを低減し耐震性を高める。
阪神・淡路大震災クラスの大地震を想定した地震応答解析では、境界梁型制震ダンパーが建物に生じる地震エネルギーの約20%を消費し、揺れを効果的に軽減することを確認している。
従来の超高層集合住宅は柱を格子状に梁で結ぶ構造形式が一般的だったが、間取りが柱や梁に制約される。
このため、建物中央部の階段室やエレベーターなどのコア部分を区画する壁をRC造のコアウォールとし、住宅内部の柱の本数を少なくしたり、梁せいを小さくする工法が開発されてきたが、30階建て高さ100m程度までが限界とされていた。
<建通新聞社・東京編集局発>
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